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「訪問診療」と「往診」の違い
「訪問診療」とは、居宅や施設において療養を行なっている患者様で、通院が困難な方に対してその同意・ご契約を得て、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して行なう診療のことを指し、「往診」とは、患家の求めに応じて赴き行なう臨時診療のことを指します。
定期訪問診療のご契約を交わした方のみ、24時間のお電話対応と往診を行います。
なお現時点では、初回の訪問から(臨時)往診の対応は行っておりませんのでご了承ください。
『在宅医療に対する思い』
訪問診療を専門とするクリニックとして、開業して早10年目を迎える事ができました。その間、実に様々な人々との出会いと別れを経験させていただきました。これまで、『在宅医として在宅療養者の生命と生活を支援でき、介護者の安心感が保障できる様な「在宅医療」を実践・追究する事』を理念においてやって参りましたが、果たして何ができたのか、未だにその答えを見い出せずに日々奮闘している今日この頃です。
思い起こしますと、私の在宅医療との最初の出会いは、今から約25年前の真冬の夜中に、山形県のほぼ中央にある片田舎の町立病院での3日間の病院日当直のバイトに行った時でした。90歳の大家族に囲まれて暮らす寝たきり老婦が食事を摂ることが叶わなくなられたため、ご家族がせめてもの点滴処置を嘱望され、病院の看護師さんと運転手さんとの3人で連日雪深い山奥の患家に通わさせていただきました。それまで、消化器内科専門医をめざして大学の研究生として働かせていただいた研修医上がりの身分ではありましたが、患家に赴くことで、目の前に居られる本人、大家族との出会いがあり、何を語り、どんな医療を施し、そんな大した事もしていないのにも関わらず、最後にはご本人より握手を交わさせていただいたかけがえのない経験が、私を在宅医療への道筋に導いて下さいました。今思えば、まさに在宅医療を目指す原点ともなった出来事だったと思います。
今は、ここ宮城県仙台市で、訪問診療を専門として地域医療に貢献できる様に、これまで試行錯誤を重ねながら日々往診車で訪問をさせていただいております。日本の国土は、世界有数の森林大国と言われており、その面積は実に約7割(フィンランドやスウェーデンに次いで3番目)を占めるそうです。島国とはいえ、これまで人々の暮らしを支えてきた土台は緑深き山々であり、自然そのものだった事が実感されます。人々は、自然を人工的に開拓して市や町を作ってきました。それでも、見渡せば今でも周りは自然溢れた山々があり、その恩恵を四季折々に感じながら歳を重ねているんだと思います。決して趣味ではないのですが、気がつけばこれまで毎日山に向かって車を走らせてきました。その環境には、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)をほとんど必要とはしない、生活を送るに足る自然が迎えてくれます。杜の都仙台(市)は、東北地方唯一の政令指定都市で、その人口は約110万人弱(都市圏人口は150万人以上)です。「仙」には、山に住み、不老不死の術を極めた人、そう「仙人」の意味があります。在宅医療は山登りとの共通点が多く、訪問の度に実感しておりました。それでも、まさに“動かざる事山の如し”であり、静かにこちらの動きを静観なさいます。人生山あり谷ありと申しますが、時に山々の周りの天候が左右するかの様に荒れた事もあったり、そうかと思えば、帰りの車からは雄大で言葉に尽くせない夕陽や虹の情景を見せてくれたり、山登りをなさる方々は、小さな石を道標として道端に積み上げていく話を聞きましたが、毎回の訪問でその布石を残していく(積み重ねていく)事が大切なんだと思います。もちろん、使った後のゴミはきれいにして持ち帰りましょう。時間があれば、家族と一緒に山登りをしたい、足腰だけは年老いてもしゃんとして行ける様に、山登りを趣味にできたら良いなと思います。毎日、その様な事を考えながら、本人やご家族が住まわれる大きな山々に向かって、自然溢れた生活環境で最期まで本人に寄り添いながらその人生を全うできる様に過ごせる一助となります様に、これからも山登りをするかの如く日々の訪問診療を重ねて参りたいと考えております。
原口 雅臣
医療法人 みやび会
いずみ往診クリニック
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